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武装する植物

数年前の話だが、家人が知り合いに梅の実を沢山いただいたという。見ると直径2cm前後の大小不揃いのもので、小梅にしては大きく、南高梅などの食用梅にしては小さいという、何とも中途半端な大きさであった。果実のところどころシミがあったりゴツゴツした感じだったりで、自宅で採れたか近所で採れたからしいのだが、詳しいことは判らなかった。

我が家は30年ほど前に江戸川区から現在の市川市に引っ越しして来たのだが、当時は空き地ばかりで、建物が無いためか毎日のように強風が吹いている寂しい場所だった。それが、数年経つうちにアパートやマンションが次々と建つようになり、それとともに地価も上がっていった。それと同時に、あちらこちらの空き地に梅や栗の苗が植えられ始めたが、おそらく節税のために「農地」としての体裁を整えるためだったのだろう。それらの梅園や栗園は数年の内にマンションやアパートに変身して行ったのだが、売り惜しみ(?)をしている内にバブル崩壊となって売れなくなったのか、今ではすっかり立派な梅園や栗園になっている場所がある。そんな場所で収穫して来たものなのかも知れない。ともかく収穫物が目的では無いので、無肥料、無農薬、滅多に雑草取りもしないので草ボウボウ、図らずも自然農法を実践している場所なのだ。それでも梅や栗の木は逞しく生き、季節になれば果実を落とす。無肥料無農薬でも、収穫物の品質を問わなければ梅や栗の栽培は難しくはないらしい。おそらくそんな理由もあって、これらの樹種がえらばれたのだろう。

バラいっぱいの庭にしたいというタイトルで我が家のバラを紹介したことがあるが、実はこのバラたちもほぼ無農薬で栽培している。毎週のように農薬を撒かねばバラは栽培出来ないと信じている人も多いから驚くだろうが、私が農薬を撒くのは年に1回程度、チュウレンジバチの害が酷くなった時だけで、撒かなかった年もある。ほぼ無農薬で栽培出来るというのは、これらの品種が耐病性に優れているということもあろうが、実際には近くに寄ってみるとアブラムシがいたり、ゾウムシの類にやられていたりで、1つ1つの花はクローズアップに耐えられるかどうか疑問というレベルだ。たった数株の趣味栽培だし、管理の手間と楽しみのバランスを考えたら十分納得が行く出来映えだと思っている。これがもし切り花等の大規模な商業生産だったら同じようには行くまい。虫食い黒星病のバラなど誰も活けたくなかろうから。

バラの栽培では農薬を使うか使わないかの議論が盛んにされることがあるが、農薬の是非を言う前にもっと重要な事がある。どんな植物でも同じだと思うが、株がいったん弱ると病虫害の集中攻撃を受けることがある。バラの場合は定期的な施肥と適切な剪定が最も重要で、これらを怠って無肥料放任栽培していると、次第に枝葉が細く、貧弱なものになって行く。新しいシュートは出なくなり、古いシュートに貧相な枝葉が着いた姿になる。そうなると、いくら耐病性に強い品種と言えども黒点病が大発生し、夏にはバラバラと葉を落とすことになる。そして、枝にはカイガラムシがびっしりついたりして、まさに病虫害の巣窟になってしまう。このように葉を落とした株は充実することが出来ず、翌春はさらに悲惨な状態になって行く。まさに負のスパイラル状態だ。そうなってしまってから農薬で抑えようとしても、せいぜい貧相な状態を維持するのが精一杯だ。飢え死にしそうな人に薬だけ飲ませるバカはいないだろう。まずは基本的な栽培管理方法を身につけてから農薬使用の是非を語らねばならない。それを最初から無農薬で栽培するにはどうするか?・・・というところからスタートしてしまう人がいて、施肥や剪定等の基本を忘れ、やれ焼酎だ木酢だトウガラシだというから、話はおかしな方向に飛んで行ってしまう。

話を梅の実に戻すが、その不揃いの実は梅干しとなって食卓に登場した。しかしその味ときたら、苦いというか渋いというか、いずれにしても食べられるようなものではなく、結局全て廃棄処分となった。何故そんな酷い味になったのだろうか?

ここからは推測になるが、たぶん無肥料無農薬が不味さの原因だと考えている。野菜や果物等、植物由来の食物には苦味や渋味などを持つものが少なくない。また独特の香りを持つものも多い。これらは二次代謝産物と呼ばれ、我々はその風味を楽しんだり、時に薬用として利用したりするが、植物としては何も人間を楽しませるために作っている訳ではない。二次代謝産物の多くは抗菌活性など様々な生物活性を持っていることから、耐病性や耐虫性など、自分自身を守るために作っていると考えられている。これらの物質を作るにもエネルギーが必要だし、場合によっては植物自身にも害があるから、必要な時だけ作るようにしていることが多い。必要な時とはどんな時か? 病気や害虫に攻撃された時だ。様々な環境ストレスにさらされた時にも、これら二次代謝物生産のスイッチが入る。要するに、植物は外から攻撃を受けると完全武装した状態になる訳だ。それを人間が食べると、苦かったり、渋かったりするのだが、蓼食う虫も何とやら、「香り高く」なったり「味わい深く」感じたりするのだから面白い。ただし、もともとは外敵から身を守るために作られた物質だから、基本的には我々に害を及ぼすものであると考えておいた方が良いと思う。作物の改良の歴史は、これらの二次代謝物を作らない系統、つまり「穏やかな性格の持ち主」を選抜した歴史とも言える。だから、いくら穏やかな人だって虐められれば牙を剥くことがあるように、園芸品種と言えども、粗放的に扱われれば自分を守るために野生に目覚め、全身を化学物質で武装することがある。もらった梅の実はそのようなものでは無かったのか? バラの場合は、梅などとは逆に、弱ると二次代謝物を作れなくなるのかも知れない。株の調子が良い時に、最高の二次代謝能力を発揮するのでは無いか? 調子の良い株では香りも強いかも知れない。そもそも食用品種と観賞用品種の選抜基準が違うのだから、同じようには考えられないだろう。同じキャベツの仲間でも、観賞用に選抜された葉ボタンでは固くて不味くなったのと同じ理屈だ。

最近、腐らないことを売り物にしたリンゴが高値で販売されているらしいが、これが抗菌性の二次代謝産物によるものだと考えると、粗放的な栽培によって虐めぬかれた結果ではないかと推測される。だから、リンゴが「腐らない」という現象と、それが人の健康に良いことなのかどうかは別の話として考えなければならないだろう。腐らないパンは食品添加物がタップリ入っているから危ないという人がいるが、その一方で腐らないリンゴが歓迎されるというのは何だかサッパリ解らない。リンゴを引き合いに出したが、「虫の食っている野菜は美味い」等の話も意味不明だ。虫に囓られたり、病気にやられている植物は相当にイライラして攻撃的になっていると考えた方が良いと思う。肥料や農薬を適度に使って、植物達をなるべく平和ボケの状態にしておくのが、我々にとって安全なことでは無いだろうか? 虐めて反応を楽しむいじめっ子は、時には反撃に遭うことも考えておいた方が良かろう。植物の時計はゆっくりだから、何年もかけてジワジワと効いてくるかもよ(笑)


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テーマ : バラが好き!
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バラいっぱいの庭にしたい

我が家のバラ

写真は2年前のものですが、我が家の狭い庭に植えたツルばらの様子です。左側ピンクの大輪が'ピエール ド ロンサール'、右側の濃いピンクが'アンジェラ'です。ピエールの方は15年程前に苗を買い求めて鉢植えにしていたもので、10年前に地植えにしてやりました。アンジェラを植えたのは5年くらい前だったでしょうか。
白いパーゴラは自作で、最初はブドウを這わせようと考えて作ったのですが、ずっと以前に平塚の公園で見事に咲いていたのを見て以来ずっと植えたかったので、ついついアンジェラを植えてしまいました。この2つの品種は、どちらも香りがあまりしないのが残念ですけれど、これだけ沢山咲くと結構香ります。

ピエール

この花の下で優雅にお茶を飲みたいものです。・・・が、現実は足の踏み場が無いのと、道行く人の視線が気になってしまって、残念ながら未だ一度も試みた事がありません。

ホントはもっともっと植えたいのです。いつかそんな日が来るのを夢見ています。

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バラで美白?

イングリッシュローズ 'フェアビアンカ'

フェアビアンカ

asahi.comの記事より
http://www.asahi.com/health/news/TKY200703140040.html

たぶんすぐに消えてしまうので引用しておきます。
*****************引用開始*******************
白いバラの香りに美白成分? カネボウが確認
2007年03月14日

 フェアビアンカという白いバラの品種の香りに、肌の黒ずみの原因となるメラニン色素の生成を妨げる成分が含まれていることを、カネボウ化粧品が見つけた。香り成分が「美白作用」を併せ持つ意外な結果だ。国立科学博物館(東京)で24日から始まる「特別展 花」に香り成分を展示、28日から富山市で開かれる日本薬学会で発表する。

 同社は、咲いたままの花の香りの成分を直接集める手法で、数百種のバラの花の香りを分析。フェアビアンカ種で、これまで知られていなかった特有の成分を見つけた。この成分にメラニン色素のもとを持つ皮膚の培養細胞をさらすと、メラニン色素の生成が抑えられた。色素の生成過程にかかわるチロシナーゼという酵素の働きを妨げているらしい。

 「美白」をめぐっては、チロシナーゼなど様々なメラニンの生成過程を標的に研究が進められている。同社製品開発研究所の駒木亮一主席研究員は「このバラが真っ白になるメカニズムと関係している可能性がある」といい、詳しい分析を進めている。
*****************引用終了*******************

昨年6月の記事にも書きましたが、イングリッシュローズを輸入した経緯は伏せておきました。実は、この分析に用いたフェアビアンカの株を輸入して、駒木さんに香気成分のGC分析を依頼したのは私です。もう時効だと思うので、研究背景はこの記事にあるような単純な話では無かったことを応援を兼ねて書き留めておきます。

朝日新聞の記事を読まれた方は、数百種のバラを分析した結果「フェアビアンカ」の美白成分にたどり着いたという印象を持たれると思います。しかし、もともと美白成分を探し出すために始めた仕事では無く、バラ、特にイングリッシュローズやオールドローズの香りの多様さや系譜を探り、さらにバラの香りが持つ心理面への効果(アロマコロジー)を応用した商品開発が出来ないかという発想で着手した仕事でした。アロマテラピーなどという言葉もぼつぼつと聞かれ始めた頃で、例えば、香りの心理効果を重視した品種作出、それを用いたフラワーアレンジメントやガーデンデザインがあり得るのでは無いかと私は考えたのです。研究はそこから始まりました。

80年代の終わり頃、私の在籍していた研究所では、新規事業開拓の一つとして花卉関連事業の可能性を探っていました。そして、90年代に入って間もなく、直属の上司の提案が伊藤会長に認められ、化粧品本部長だった帆足氏をトップとした委員会が結成されました。その中で私が提案したのが、化粧品事業との相乗効果が期待される「香りのバラ」の切花生産や販売でした。特に、イングリッシュローズは香りの多様性と四季咲き性を兼ね備えた品種群で、そのクラシカルで優美な雰囲気に、近い将来日本で流行するという確信を持ちました。いずれは自社オリジナル品種を作出せなばならないにしても、導入品種で市場評価が出来るものと考えました。

カタログやオースチンの本を参考に香りに特徴のある品種を選び、カナダのバラ苗生産会社から約20品種を輸入し試作を始めました。その翌年以降も追加輸入し、最終的にはイングリッシュローズだけで30品種ほど収集しました。どの品種も個性のある香りを持っていましたが、中でもミルラの香りがすると紹介されていたフェアビアンカは、期待通り他に類の無い不思議な香りで、遠くエジプトの風景を想起させるものでした。柔らかに重なり合う多数の花びら、優しくしなる枝・・それまでの四季咲きバラには無かったものでした(なにしろ切花としてのバラは、硬く長い茎の先に高芯剣弁の花が1個ポンと着いているのが最高の品で、茎が少しでも短いと安く買い叩かれるという時代でした)。それで、早速香料研究室に香気成分の分析を相談したところ、快く応じてくれたのです。

香りの分析を依頼した背景には、実は、バラの香気成分分析とDNA分析の両面から、原種から現代バラに至る系譜を明らかに出来ないかという関心があったのです。商品開発的な話とは直接関係はありませんが、学術的な研究結果は、バラのような歴史のある花の持つ「物語性」を必ずや高めてくれるだろうという期待があったのです。そのため、千葉大学の先生との共同研究の話もまとまりました(このあたりの研究は、後年、資生堂が行うことになるのですが・・・これは本来悔しい事ですけれど、結果を知ることが出来れば幸せなのが私の呑気なところ)。

試作の結果ですが、残念ながらバラの専門家の意見は散々(みっともない花型云々)でしたし、なにより花びらがすぐに散ってしまうため、オースチンの品種をそのまま切り花生産に使うには難がありました。そして、肝心の新規事業の方も、会社の経営難が重なって頓挫してしまいました。大学との共同研究もその必然性が無くなってしまいました。ただ、香りの分析だけは社内で粘り強く進められたようで、今回の発表につながったようです。私は数年前に会社を辞めてしまったので、いつ百品種以上の分析を行ったのか知りませんし、当初の目的とは全く異なった方向に進んでいますが、着手からここまで15年以上かかっているわけです。もしこの研究成果を用いた商品が販売された時には、このような紆余曲折や長い研究の道のりがあった事を想っていただければと希望します。

余談ですが、当時、私が流行を予想して当たった植物として、イングリッシュローズの他にヘレボラス(クリスマスローズ)と多肉植物がありました。

テーマ : バラが好き。。。
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イングリッシュ・ローズの想い出

先週の日曜日、八千代市の京成バラ園に行って来ました。朝から小雨模様で行くのを断念していましたが、10時ごろから徐々に晴れ間が見えたので、ちょっと遅出の12時ごろからの出発になりました。道路や駐車場が混んでいるでしょうから、運賃の高いのを我慢して東葉高速鉄道に乗り八千代緑が丘駅で下車、20分ほど歩いてバラ園に到着しました。電車で行くとこの徒歩があるので、散財しなくて済みます(笑)。

今月はホント雨ばかり、毎日新聞によると・・
「東京の今月7~18日の日照時間は計15・8時間で、平年の23%にとどまり、ほとんど日差しがない状態だ。」そうだ。
それも土日はほとんど雨でしたから、日曜日の晴れ間はとっても貴重!と思った人も多いようで園内はいつになく混雑していました。肝心のバラはというと、満開をやや過ぎた感じでした。

ピース&全景

園内の様子。右奥に見えるピンクのアーチはコルデス作の‘アンジェラ’。いつ見ても花着き満点。我が家でもアーチっぽくなってます。ごついシュートが伸びまくるので剪定には難儀してます。

手前のクリーム色にピンクの差したものは不朽の銘花、メイアン作‘ピース’。第二次世界大戦の終戦の年である1945年の発表で、平和を願って名付けられたとか。私が物心ついた頃に庭に植えてあったバラ3本のうち1本がこの‘ピース’でした。その巨大輪の花が咲く頃、庭で大きな蕾がふくらんで行く様を眺めては嬉しい気分になりました。あとの2本は、‘パパ・メイアン’と‘クイーン・エリザベス’。

ジェーン・オースチン

オースチン作、‘ジェーン・オースチン’
イングリッシュ・ローズの中で最もお気に入りの品種です。花色、香りともに大好き。

以前BBSにもちょっと書きましたが、ここでイングリッシュ・ローズの想い出を書き留めておきましょう。

高校生の頃から今で言う「ハーブ類」や「薬用植物」にとても興味があって、ミントやラベンダーにはとても憧れていました。今ならホムセンに行けば当たり前のように購入出来ますが、当時は販売される事は滅多にありませんでした。バラやジャスミンなら精油を採る品種が欲しいと思っても、やはりどこにも売っていない・・。大学生になって、やっとセンティフォリア・ローズの実物に出会うことが出来ました。桜色の薄い花弁がぎっしりと詰まった花を見つめていると、精油を採るために栽培している所を見てみたいものだと思いました。また、その香りはハイブリッド・ティーには無い濃厚なものでした。

何年かはこのバラを楽しんでいましたが、所謂、「オールド・ローズ」と呼ばれるこれらのバラの多くは春にしか咲かず、年中楽しむにはどうしたら良いのかを考えるようになりました。この平咲きと香りをそのままに四季咲き性を与えれば、例えば温室栽培すれば周年オールド・ローズの切花を楽しめるようになります。これは素晴らしいアイデアだ!! そして、四季咲き性を取り入れるにはハイブリッド・ティー系の品種を交配すれば良さそうです。でも、四季咲き性が劣性だとすればF2まで見なくてはなりません。これは大変。

それで、バラの研究者であるU先生に四季咲き性の遺伝について伺いました。すると四季咲き性は優性劣性とのこと。なら花型や香りは別にして周年開花は意外に簡単かも! と思ったところで、U先生に「それならイングリッシュ・ローズというのがあるよ」と教えられました。当然、同じような事を考えて実行する先達はいくらでもいるものです。所詮アマチュアの思いつきです、現在の品種をちゃんと調べておけば良かったのです。

なら、そのイングリッシュ・ローズを買ってみようと思いました。ところが、ここで大きな障壁が待っていました。オースチンから送られて来たカタログには、「日本には苗は売らないけど、参考のためにカタログを送ります」という手紙が添えられていました。1990年頃の話です。噂によるとオースチン氏は日本がお嫌いなのだとか・・・。原因はどうも戦争中の話らしいです。

もちろん国内で販売されていなかった頃ですから、RHSの会報誌で広告を探したり、U先生に紹介していただいた海外のナーセリーにカタログを請求し、やっとカナダのホルティコ社が日本に輸出してくれる事がわかりました。苗物の輸入手続きなど何も知りませんでしたので、植物検疫の事、税関の事、海外への銀行送金の事・・・色々調べて、やっと20品種注文しました。イギリスのピーター・ビールズも日本に輸出してくれるとの事で、こちらにはオールド・ローズを注文しました。苗が到着するまで待ち遠しかったこと。

待ちに待った苗を植え付け、初開花!!
やっと目にする憧れのイングリッシュ・ローズ。その花の姿、香り・・・今でも鮮やかに思い出します。日本中探しても、マニアの庭、あるいは育種専門家の試験圃場以外ではたぶん見る事が出来ないでしょう。それが今、目の前にある・・・その事だけでも恍惚となりそうです。

咲いた花を早速切り花にして花器に盛り、写真に撮ったり、人に見せたり・・・、オールド・ローズの花型の優しさと香りの良さを他人に説いてまわりました。でも、残念ながら評価は全くダメでした。特に専門家の意見は厳しいものでした。曰く「みっともない花型で、悪い花型の典型だ」「日本人は高芯剣弁が好み。平咲きなどナンセンス」云々。完全に凹んでしまいました。

その後、岐阜県で花フェスタがあり、鳴り物入りでイングリッシュ・ローズが紹介されるとこのような状況は徐々に変化して行きました。日本でも輸入代理店が出来、少しずつですが苗を購入する事が出来るようになりました。そしてここ数年はホムセンでも置いてありますし、「全然ダメ」と言われたバラ園にもずらりと苗が並ぶようになり、この十数年の変化は劇的なものだったと思うと感慨深いものがあります。

さて、このイングリッシュ・ローズの切り花ですが、最大の問題は実は人の好みではありませんでした。花持ちが全く話にならないくらい短いという事がわかりました。開花後2~3日で散ってしまったのです。現代バラに香りが無くなったのは、品種改良の過程で香りを軽視したからだ・・・という説がありますが、これは間違いかも知れません。私は花持ちを良くすると香りが消えるのでは無いかと考えています。バラの香り成分、例えばモノテルペノイド類は細胞に大きなダメージを与えます。これが花の寿命を短くしているのではないかと推測しています。香りが良く、かつ花持ちも良い品種というのはあるのでしょうか? バラ以外なら香りも花持ちも両立している植物もあるでしょう。例えばユリなど。香りの生成や蓄積、放散のメカニズムを調べて行くと、夢のバラが作れるかも知れない・・・などと、四季咲きのオールド・ローズを夢見た頃のような気持ちになっています。

グラハム・トーマス

オースチンの代表作‘グラハム・トーマス’
オールド・ローズには黄色い品種はありませんから、発表当時は黄色でオールド・ローズの花型には賛否両論だったそうです。また、黄色い品種は原種のロサ・フェチダから来ているのであまり良い匂いはしないのが普通です。この品種は、オールド・ローズの花型でありながら黄色でしかもティー・ローズの香りという、まさにオースチン氏の挑戦を具現化した品種と言えましょう。

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Author:conocono
花好きおじさんの園芸と植物に関するあれこれ。
たまに作り話もあるので要注意。

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