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蚊連草の由来と蚊よけ効果

蚊連草はオランダのファンリーニ氏が作出したという話になっているので、恐らく海外から輸入されたものなのでしょう。それで、開発に関する情報が無いかと海外サイトを検索してみました。結論から言えば、結局のところ広告文くらいの情報しか無く、一次情報にはたどり着けませんでした。ただ、信頼出来るハーブの種苗業者Richtersのサイトに詳しい記述が掲載されていました。
http://www.richters.com/newdisplay.cgi?page=OttoRichter/1993.html

'Citrosa' Geranium (a.k.a. Pelargonium 'Van Leenii')
The ads claim that "Citrosa Mosquito Fighter is the result of a revolutionary new breakthrough from a Dutch horticulturist. It was genetically created by crossing tissue cultures of an African Geranium with the Grass of China in sterile laboratories." "He used a technique called protoplast isolation and fusion whereby through genetic engineering, Mr. Van Leenen took a specific geranium and "married" it to Cymbopogon Nardus creating in effect a new and different utility plant."
あちらの広告では、ファンリーニ(Van Leenen)氏、遺伝学者でなくて園芸家という事になってます。そして、遺伝子工学というのはプロトプラスト融合という事のようです。プロトプラスト融合というのは、酵素処理で細胞壁を取り除いた細胞(プロトプラスト)同士を融合させる技術で、ドイツのマックスプランク研究所のメルヒャーズ博士が1987年に報告した「ポマト」(ジャガイモとトマトの融合植物)が有名です。日本ではキッコーマンが発表した「オレタチ」(オレンジとカラタチ)が最初だったと思います。その他の成功例は数十あるようですが、縁の遠い植物間での融合は極めて困難で、科をまたいでの融合には成功例はありません。もし蚊連草が本当にフウロソウ科とイネ科の融合雑種なら、双子葉植物と単子葉植物の融合に成功した事になり、学術的な快挙として専門雑誌や新聞等でも詳しく報じられるたことでしょう。しかし、文献検索しても何一つ引っかかって来ません。つまり、限りなく作り話であると考えざるを得ません。やはり、交配で作ったものなのでしょう。もちろんイネ科のシトロネラとの交配ではありません。ペラルゴニウム属内の種間雑種、あるいは選抜個体でしょう。

肝心の蚊よけ成分については、
From published reports, the oil of Ceylon citronella grass (Cymbopogon nardus) has an average of 20% genial, 14% citronellal, and 12% citronellol and gernial acetate. The oil of Java citronella grass (C. winterianus) has, on the average, 22% gernial, 22% citronellal, and 16% citronellol and gernial acetate. By gas chromatography.mass spectrometry in our lab, the oil of 'Citrosa' geranium has, on the average, predominantly 39% gernial and 11% citronellol. The citronellal content is only 0.09%! Compare this, if you will, with the common rose geranium (Pelargonium 'Rose'), which as 15% gerniol, 25% citronellol and gernial acetate, 10% cintronellyl formate, and no citronellal. 'Dr. Livingstone,' another rose geranium, does have 9% citronellal, though.
蚊よけ成分とされるシトロネラール(citronellal)含有率は僅か0.09%だそうです。また、ローズゼラニウム類の中でもシトロネラール含有率は大きな品種間差があり、全く無いものから9%程度含むものまであるようです。蚊連草、バイオを持ち出す程の含有率では無い(むしろ低い)のが面白い。

他に気になるサイトがあって、蚊よけ効果についての報告のまとめがあります。
http://cat.inist.fr/?aModele=afficheN&cpsidt=3404823

Document title
Failure of the mosquito plant Pelargonium × Citrosum Van Leenii , to repel adult Aedes albopictus and Culex quinquefasciatus in Florida

Abstract
The efficacy of the «mosquito plant», Pelargonium × citrosum «van Leenii», as an areawide repellent against adult host-seeking Aedes albopictus and Culex quinquefasciatus females was evaluated. No significant differences (P > 0.05) were observed in the number of mosquitoes landing on the forearms of human subjects in locations where plants were present compared with areas without plants. In laboratory cage trials, more Cx. quinquefasciatus adults rested on excised leaves of this cultivar compared side-by-side with similar size and shape white paper leaf models
効果無しと言う事で・・・


*まとめ*
・ 蚊連草は交配で作出されたローズゼラニウム類の1品種と考えるのが妥当
・ 有効成分とされるシトロネラール含有率は低い
・ 蚊よけ効果は有意差無し


カナダのRichtersのカタログには、それでもちゃんと蚊連草(Pelargonium 'Van Leenii')が掲載されています。但し、蚊よけ効果は無いけど、香りが良いのでお薦めだそうです(笑)
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蚊連草は遺伝子組換え植物では無い

某ホームセンターの園芸コーナーで、久しぶりに「蚊連草 」の苗が大量に並んでいるのを見かけました。1993年7月に伊藤忠アグリシステムから販売されて以来、数年毎に消えたり現れたりする不思議な植物です。

最初に売り出された時は、新聞記事になるほど話題になりました。正確な記述は忘れましたが、「遺伝学者のファアンリーニ氏が、実験的遺伝子移行技術により、蚊が嫌う成分(シトロネラ)を作る遺伝子をシトロネラ草からニオイゼラニウムに移して作った」というものです。

実験的遺伝子移行技術・・・オイオイ、なんじゃそりゃ???

シトロネラ草はイネ科、ニオイゼラニウムはフウロソウ科。交配なんて出来るはず無いですから。なら遺伝子組換えなのか?・・・ということで、今でも蚊連草は遺伝子組換え植物だと思い込んでいる人も少なく無いのではないでしょうか? 当時、この植物がどのように作られたのかが話題になりました。ところが、いくら調べても「遺伝子移行技術」が、具体的にどのような技術なのか判りませんでしたし、遺伝学者ファンリーニ氏なる人物も実在するかどうかすら確認出来ませんでした。

そんな事を思い出しながら、さて、今はラベルに何て書いてあるのかと見てみると・・・


「蚊連草は遺伝学者ファンリーニ氏が長年の実験的異種交配により研究開発した植物です」


おお! ファンリーニ氏という記述は健在(笑)の様子。その後が微妙に違っていて、今回は「実験的異種交配」となっています。何だ、種間交雑か・・・。ローズゼラと何か別種を交配したのでしょうかね?

蚊連草が登場した頃は、遺伝子組換えが夢の技術でした。本当は種間交配で出来た植物だった蚊連草ですが、遺伝子組換えで作られた植物であると、お客さんが勝手に勘違いしてくれるような巧妙な宣伝文句を考えたのでしょう。確かに、品種改良で普通に行われている交配(種内、種間等)だって、系統から系統へ、あるいは種から種へ遺伝子を「移行」させているのだから、結果的には遺伝子組換えを行っている事にはなるのだけれど、現時点では、「交配」と「遺伝子組換え」は別の技術ということになっています。

最初に売り出された当時とは違って、遺伝子組換え植物の評価が割れている現在、組換えを思わせる文句は拙いと思って、異種交配という説明に変更したのでしょう。まさに商品は時代を映す鏡です。また数年すると「遺伝子云々」に変わったりして(笑)・・そういう時代になって欲しいものです。

ちなみに蚊香龍(カコロン)という名称で販売されているものは、蚊連草と同一のもの(コピー商品)です。蚊連草は種苗特許が取られていないようなので、名称だけ変えて(登録商標になっているのかな?)売らせてもらったとのこと。「蚊がコロン」となるからだそうな。なかなかのネーミングだとご満悦の様子でした。面白い事に、ネット上では、蚊香龍も遺伝子組換えで作出されたと説明されている事が多いようです。蚊香龍はこっそりコピー品なので、公にはそんな説明されてないのに。誰かが創作したんでしょう。

*ネット上では、蚊連草が遺伝子組換え植物という情報がコピー&ペーストで増殖しているようです。間違った成分名「シトロネール」(正しくはシトロネラール=citronellal)と合わせてgoogle検索をかけてみると・・
「蚊連草 シトロネール」=約40件 2007年6月30日
気が向いたらまた検索してみよう。コピペでの増殖速度が判るかも(笑)

2007年7月6日・・・154件! 急上昇中!!
夏ですね~
「シトロネール」を「遺伝子組換え」で組み込んだという説明が、どんどん増殖しています。売っている方は一言も「遺伝子組換え」とは言ってないんですけど、誰かの勘違いがどんどん拡大再生産されて行く~。そもそも成分名の間違いに気がつかないような人が、理解も無く真偽も確かめずにコピペしてネットに公開するのって、いったいどういう了見なんでしょうね?

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Author:conocono
花好きおじさんの園芸と植物に関するあれこれ。
たまに作り話もあるので要注意。

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