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バラで美白?

イングリッシュローズ 'フェアビアンカ'

フェアビアンカ

asahi.comの記事より
http://www.asahi.com/health/news/TKY200703140040.html

たぶんすぐに消えてしまうので引用しておきます。
*****************引用開始*******************
白いバラの香りに美白成分? カネボウが確認
2007年03月14日

 フェアビアンカという白いバラの品種の香りに、肌の黒ずみの原因となるメラニン色素の生成を妨げる成分が含まれていることを、カネボウ化粧品が見つけた。香り成分が「美白作用」を併せ持つ意外な結果だ。国立科学博物館(東京)で24日から始まる「特別展 花」に香り成分を展示、28日から富山市で開かれる日本薬学会で発表する。

 同社は、咲いたままの花の香りの成分を直接集める手法で、数百種のバラの花の香りを分析。フェアビアンカ種で、これまで知られていなかった特有の成分を見つけた。この成分にメラニン色素のもとを持つ皮膚の培養細胞をさらすと、メラニン色素の生成が抑えられた。色素の生成過程にかかわるチロシナーゼという酵素の働きを妨げているらしい。

 「美白」をめぐっては、チロシナーゼなど様々なメラニンの生成過程を標的に研究が進められている。同社製品開発研究所の駒木亮一主席研究員は「このバラが真っ白になるメカニズムと関係している可能性がある」といい、詳しい分析を進めている。
*****************引用終了*******************

昨年6月の記事にも書きましたが、イングリッシュローズを輸入した経緯は伏せておきました。実は、この分析に用いたフェアビアンカの株を輸入して、駒木さんに香気成分のGC分析を依頼したのは私です。もう時効だと思うので、研究背景はこの記事にあるような単純な話では無かったことを応援を兼ねて書き留めておきます。

朝日新聞の記事を読まれた方は、数百種のバラを分析した結果「フェアビアンカ」の美白成分にたどり着いたという印象を持たれると思います。しかし、もともと美白成分を探し出すために始めた仕事では無く、バラ、特にイングリッシュローズやオールドローズの香りの多様さや系譜を探り、さらにバラの香りが持つ心理面への効果(アロマコロジー)を応用した商品開発が出来ないかという発想で着手した仕事でした。アロマテラピーなどという言葉もぼつぼつと聞かれ始めた頃で、例えば、香りの心理効果を重視した品種作出、それを用いたフラワーアレンジメントやガーデンデザインがあり得るのでは無いかと私は考えたのです。研究はそこから始まりました。

80年代の終わり頃、私の在籍していた研究所では、新規事業開拓の一つとして花卉関連事業の可能性を探っていました。そして、90年代に入って間もなく、直属の上司の提案が伊藤会長に認められ、化粧品本部長だった帆足氏をトップとした委員会が結成されました。その中で私が提案したのが、化粧品事業との相乗効果が期待される「香りのバラ」の切花生産や販売でした。特に、イングリッシュローズは香りの多様性と四季咲き性を兼ね備えた品種群で、そのクラシカルで優美な雰囲気に、近い将来日本で流行するという確信を持ちました。いずれは自社オリジナル品種を作出せなばならないにしても、導入品種で市場評価が出来るものと考えました。

カタログやオースチンの本を参考に香りに特徴のある品種を選び、カナダのバラ苗生産会社から約20品種を輸入し試作を始めました。その翌年以降も追加輸入し、最終的にはイングリッシュローズだけで30品種ほど収集しました。どの品種も個性のある香りを持っていましたが、中でもミルラの香りがすると紹介されていたフェアビアンカは、期待通り他に類の無い不思議な香りで、遠くエジプトの風景を想起させるものでした。柔らかに重なり合う多数の花びら、優しくしなる枝・・それまでの四季咲きバラには無かったものでした(なにしろ切花としてのバラは、硬く長い茎の先に高芯剣弁の花が1個ポンと着いているのが最高の品で、茎が少しでも短いと安く買い叩かれるという時代でした)。それで、早速香料研究室に香気成分の分析を相談したところ、快く応じてくれたのです。

香りの分析を依頼した背景には、実は、バラの香気成分分析とDNA分析の両面から、原種から現代バラに至る系譜を明らかに出来ないかという関心があったのです。商品開発的な話とは直接関係はありませんが、学術的な研究結果は、バラのような歴史のある花の持つ「物語性」を必ずや高めてくれるだろうという期待があったのです。そのため、千葉大学の先生との共同研究の話もまとまりました(このあたりの研究は、後年、資生堂が行うことになるのですが・・・これは本来悔しい事ですけれど、結果を知ることが出来れば幸せなのが私の呑気なところ)。

試作の結果ですが、残念ながらバラの専門家の意見は散々(みっともない花型云々)でしたし、なにより花びらがすぐに散ってしまうため、オースチンの品種をそのまま切り花生産に使うには難がありました。そして、肝心の新規事業の方も、会社の経営難が重なって頓挫してしまいました。大学との共同研究もその必然性が無くなってしまいました。ただ、香りの分析だけは社内で粘り強く進められたようで、今回の発表につながったようです。私は数年前に会社を辞めてしまったので、いつ百品種以上の分析を行ったのか知りませんし、当初の目的とは全く異なった方向に進んでいますが、着手からここまで15年以上かかっているわけです。もしこの研究成果を用いた商品が販売された時には、このような紆余曲折や長い研究の道のりがあった事を想っていただければと希望します。

余談ですが、当時、私が流行を予想して当たった植物として、イングリッシュローズの他にヘレボラス(クリスマスローズ)と多肉植物がありました。
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テーマ : バラが好き。。。
ジャンル : 趣味・実用

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う~ん、すごい話です。

なんかとっても「納得!」って感じです。
よくわかりませんが・・・(笑

イングリッシュローズの香り、私大好きです。
ただ、花が大きくて、樹も太く大きくなるので
今はどうしてもこれだけは!と気に入ったバラしか育ててませんが。

カネボウさんといえば、ガムをかめば、体からバラの香りが・・・って言うガムも出てますよね。

商品や花でも何かを作り出す事って、ホントに根気のいることなんだなと思います。

わたしも朝日新聞記事(2007.3.14)を読みました。最も引用しているフエビアンカの写真は異なりますが、記事内容は全く同じです。15年間も研究が重ねられて来たのですね。カネボウにしては珍しいことではないかと思います。それにしても香気成分に酵素阻害作用があるとは驚きですね。

イングリッシュローズは・・

最近はホームセンターでも苗が売られているくらいポピュラーなカテゴリーになって、正直私も驚いています。あの当時、知名度ゼロでしたからね。ただ、完成度もいま一つという感じでした。ここ数年、オースチン以外からもオールドローズタイプの新品種が発表になってますね。おかげで、より好みの品種を選ぶことが出来るようになりました。コンパクトサイズのもありますよ。

体からバラの香りは男性バージョンもあって結構売れたようです。買ったことはありませんが(苦笑)。

写真は・・

ひろさん、こんにちは。
新聞では「白いバラ」となっていますが、私の写真にあるとおり、実際は淡いピンク色の品種です。記者は実際の花を見ないで、言葉だけの悪乗りしてますね(笑)

商品化研究は短期でやっつけることが多いようですが、基礎的な研究は結構息の長いものですよ。マスコミで取り上げられることは滅多にありませんが。

酵素の阻害については、試験管の中での効果を調べただけだと思います。実際に人体で効果があるかどうかは、たぶん調べていないでしょう。その辺の事情は健康食品と同じと思います。

あと、誤解があると困るので、こっそりここに書いておくのですが、花の色素はアントシアニンやカロチノイドなので、ヒトのメラニン色素と関連付けるのは、相当に飛躍した理論だと思います。言わされたのかなあ・・・(苦笑)

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花好きおじさんの園芸と植物に関するあれこれ。
たまに作り話もあるので要注意。

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