スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

優性か劣性か・・それが問題だ

ダブルピンク

2~3年前から花屋さんでダブル(八重咲き)のヘレボラスを見かけるようになりましたね。長年地味で控えめな花だったヘレボラスが、突然に鮮やかで豪華な姿に変身して舞台に登場したのですから、この花の虜になってしまった方が増えましたね。また、古くからのファンも見違えるような姿に、この花の可能性を見直したことでしょう。

さて、このダブルですが、シングル(一重咲き)と交配すると出て来る子供はほとんど全てがシングルになる事が知られています。このように、対立形質(ダブル:シングル)のうち、交配一代目でどちらか一方だけが現れる時、隠されてしまう形質を「劣性形質」と呼び、また現れてくる方の形質を「優性形質」と呼びます。この現象をメンデルの法則では「優性の法則」と呼びます。では、この花はどうでしょう。

セミダブル

セミダブルと呼ばれる花型で、好き嫌いは別にしてなんとも中途半端な形ですね。シングルとダブルを交配すると、このような花が出る場合があるそうです。「優性の法則」はどうしたのでしょうか? 実は、このように交配一代目で両親の中間タイプが現れるケースは非常に多く、メンデルの法則に従う例の方が少ないのです。特に色の濃度や花の大きさ等の「量的な形質」は「優性の法則」に従わない事が判っています。それは、量的な形質には沢山の遺伝子(「ポリジーン」と呼ぶ)が関わっているためであると考えられています。洞察力に優れていたメンデルが、このような優性に現れない形質にも当然気づいていたはずで、明確な結果が出た7つの形質についてのみ報告したものと思われます。このように「優性の法則」で例示された形質は特殊な例であって、その他の形質について普遍的に成り立つわけではありません。ですから「法則」と呼ぶには相応しくないわけです。

*注意:ここでセミダブルを量的な形質として例示しましたが、実際にはヘレボラスのダブル咲きの遺伝的メカニズムは判っていません。

さて、ここからは明確に「優性・劣性」が現れる場合についてそのメカニズムを考えて行く事にしましょう。

再び、ケーキに登場してもらいます。
あるケーキ屋さんでは、ケーキ作りの各ステップ毎に専門の職人さんが居るとします。粉を篩う役、混ぜる役・・・・クリームで飾る役、最後にイチゴを乗せる役で完成としましょう。これを流れ作業でやっています。各ステップには職人さんが2人ペアではりついています。2人とは何と無駄なって? もし1人だけだったら、その1人に何かあった時はケーキが出来なくなってお客さんに迷惑がかかるからです。この例え話では、2人の職人=対立遺伝子である事はもうお解りですね。ケーキは・・・花の赤い色素としておきましょう。次に1つの対立遺伝子がヘテロであることを想像してみましょう。イチゴを乗せる役の職人のうち、1人は正常でもう1人は変異を起こしている(=何も出来ない)、という場合を想定してみます。するとどうですか? 1人が何も出来なくてもケーキはちゃんと出来上がります。これが、雑種1代目では変異のある遺伝子の影響が隠れてしまう事、すなわち優性の法則、の説明になります。ここではイチゴを乗せるステップに関わる遺伝子について考えてみましたが、どのステップでも同じ事が言えます。

わざわざこのような例え話にしたのには理由があります。「対立遺伝子」、「優性」、「劣性」という言葉の持つイメージから、遺伝では、遺伝子間の戦いがあって、優れた遺伝子が形質を支配しているという風に誤って理解されている事が多いのです。酷い例では「優性遺伝子が劣性遺伝子を抑え込む」などと説明される場合がありますが、このケーキ屋さんの例でわかる通りに戦いなど無くても説明出来ますし、対立遺伝子同士の争いなどありません。また、「優性形質」は、雑種第1代目で現れる形質という意味であって、優れた形質という意味ではありません。例えば、赤い花が白い花に対して優性形質としても、赤い花は目立つので人に摘み取られてしまう確率が高くなります。すると子孫を残すには赤花は不利な形質ということになります。つまり、「表現型」と「優れている事」とは全く別の問題なのです。

今日のポイント:
優性形質は優れているわけでは無い。
スポンサーサイト

テーマ : ☆クリスマスローズ☆
ジャンル : 趣味・実用

コメントの投稿

非公開コメント

お尋ねいたします

「遺伝子」を読み続けて、ヘレボの交配を考えてみました。
ただ、綿棒でこちょこちょするのではなく、効率のよい方法をとりたいと考えが変わりました。
先日、参考書を購入し、花の構造は分かりました。
雌しべが私の思ってたものと違ってたのです。
そこでお訪ねするのですが、以前、どれでもできる訳ないようなことおっしゃいましたが、原種と交配種はダメでしょうか。
今時点で開花株は、ニゲル、りビダス、これに良く似たシルバースター、交配種が3株です。時間が余りありませんが(笑)やる気はあるんです。

お答えいたします(笑)

早速やってますね~!
遺伝の話は、かえってややこしくしているかも知れません。不明な点はどうぞ遠慮なく・・。

ヘレボ属の原種は分類学的に大まかに、有茎種と無茎種に分けています。
有茎種は次の4種
H. niger
H. argustifolius
H. lividus
H. foetidus
これら以外は、全部無茎種になります。

無茎種の間では、比較的自由に種間雑種が出来、無茎種の交配種(園芸品種)には一括して H. x hybridus という学名が与えられています。' x ' は種間雑種である事を示します。

有茎種の種間雑種も出来、次の交配組み合わせしたものが販売されています。
H. niger X H. lividus = H. x ballardiae
H. niger X H. argustifolius = H. x nigercors
H. argutifolius X H. lividus = H. x sternii
H. niger X H. x sternii = H. x ericsmithii

まっちゃんの、’シルバースター’は、3番目のH. x sternii の1つの品種ですね。片親がリビダスなので、似た雰囲気になります。これら有茎種の種間雑種は不稔(種子が出来ない)になる場合が多いため、さらに他の原種や園芸品種を交配するのは困難です。

まだ販売されていない新しい種間雑種としては、
H. niger X H. thibetanus = 'Pink Ice'
H. niger X H. vesicarius = 'Briar Rose'
H. niger X H. x hybridus = ’スノーホワイト'
があります。これらは有茎種と無茎種の橋渡し的雑種であるところが面白いです。ただし、どれも不稔ではないかと思います。

まっちゃんの手持ち株ですと、
ニゲル X リビダス
ニゲル X シルバースター
無茎の交配種同士

の3つの組み合わせが出来ますね。それと、同じ組み合わせでも、どちらを種子親にするか、花粉親にするかで、結果も変わってくるみたいですよ。もちろん、この3つ以外も不可能ではありませんが、成功率はかなり低いそうです。花数に余裕があればチャレンジされてみては?

こんばんわぁ~

遺伝子・・・ 複雑ですよね。

ゆっくりのんびりなペースで進めてくださるので
私の頭の中でこなれる時間があって嬉しいです♪

家でも、アトロ、トルクァタスが咲き出し
花粉も出始めたので、チョコチョコ花粉を付けて回ってます。(^^ゞ

結果が出るのは数年先ですけど
漠然とでも、こうなれば・・・って考えながら交配するって
楽しいですね。

雨ばかりで・・・

頭の中がスローライフなので、のんびりやってますよ~。
でも休日に雨はイタイです。花は待ってくれないし。困った困った。

遺伝子そのものが親から子へ受け継がれて行く仕組みは比較的簡単ですよね。問題は、表現型としてどう現れるかです。同じ遺伝子でも、それをとりまく遺伝的環境が変われば振舞いが変わるし、組み合わせによっては両親で見られなかった形質が出てくることもある。自然環境によって変化するし・・・。

>漠然とでも、こうなれば・・・って考えながら交配するって楽しいですね。
そうそう、それで、ハズレもまた楽し。
イメージ通りのものが当たり前のように出来てしまったら面白くないのかも・・と思う事があります。心のどこかでは、予想もしなかったものが出てくるのを期待していたりします。いろいろ理屈を考えていると、神様が「じゃあ、これはどうやって説明する?」って問いかけてくるのを待っているような。
sidetitleプロフィールsidetitle

conocono

Author:conocono
花好きおじさんの園芸と植物に関するあれこれ。
たまに作り話もあるので要注意。

sidetitle最近の記事sidetitle
sidetitleカテゴリーsidetitle
sidetitle月別アーカイブsidetitle
sidetitleメールフォームsidetitle

名前:
メール:
件名:
本文:

sidetitleFC2カウンターsidetitle
sidetitleブログ内検索sidetitle
sidetitleリンクsidetitle
sidetitleRSSフィードsidetitle
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。