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ヘレボラスの遺伝(ピコティのケース/その2)

3月3日の記事の続きです。結果のところを復習しておきます。


ピコティーの交配結果

左上の写真「P」がマザーピコティー(花粉親)で、種子親は右下の「3」に近いものでした。約20株のF1(交配一代目)を育て、現れたのはピコティー+ダークネクタリー(写真2と3)と白花+緑ネクタリー(写真3)のどちらかでした。そして、その出現率は1:1でした。



交配を進めて行く上で必要なのは遺伝学的な知識ですが、実際に手元にある株の遺伝的バックグラウンドを知っておかねばなりません。表現型(フェノタイプ)は同じでも、それを支配している遺伝子型(ジェノタイプ)は随分違っているかも知れませんからね。

このピコティー(写真P)を見た時、それまでに見た事の無い花でしたから、とりあえずの交配目的を「種子繁殖でピコの出現率を上げる」ことにしました。自家受精しない株であったため、これは断念したことは前回書きました。そこで、この株の遺伝子型を調べるために白花との交配を行うこととしました。遺伝子型を調べるための交配実験を「検定交配」と言います。ここでは、「ピコティー」、「ダークネクタリー」という表現型に注目して、それに関与する遺伝子がいくつ有って、この親株(写真P)ではホモなのかヘテロなのかを判定したい訳です。検定交配では、着目する表現型について劣性ホモである個体を使います。一般的には白花は劣性ホモである事が多いので、純白の花を探したのですが手に入らなかったため、ブロッチが少々入った白花を交配しました。花被片周囲の着色(ピコ)と蜜腺の着色が無いので、少なくともこの2つの形質については劣性ホモであると仮定したのです。

ピコティーとダークネクタリーという2つの形質をとり上げましたが、これらの形質を作り出す遺伝子がいくつあるのかは判らないので、最初は便宜的に「ピコティー遺伝子」(P)、「ダークネクタリー遺伝子」(D)と呼ぶことにしましょう。もしそれで交配実験でつじつまが合わなくなった時には、もっと細かく分けて考えれば良いわけです。ピコティーで言えば、色素を作るための複数の遺伝子、それに花被片周囲で色素を作れという色素生産場所指示をする遺伝子等です。1つの形質に関わる遺伝子は多数あるので、ピコティー遺伝子、ダークネクタリー遺伝子があると考えては解釈に行き詰まってしまいます。

さて、親株の遺伝子型はどうなっているのでしょうか?1つの遺伝子座につき1対の対立遺伝子があるとすると、マザーピコティーの遺伝子型は、PP/DD、Pp/DD、PP/Dd、Pp/Dd のどれかになりますね。白花は劣性ホモなのでpp/ddです。大文字は遺伝子の機能を持ったもの、小文字は変異によって機能を失ったものとします。

白花を種子親、ピコを花粉親とした交配について考えて行きましょう。
白花の配偶子(卵細胞)の遺伝子型は p/d だけですね。減数分裂で遺伝子が半分になっているのに注意してください。

もしマザーピコティーの遺伝子型がPP/DDなら、配偶子(精細胞)の遺伝子型はP/Dですから、F1は全部Pp/Ddとなり、ピコだけしか現れない事になります。

Pp/DDならどうでしょう。精細胞の遺伝子型はP/D:p/D=1:1、卵細胞はp/dだけですから、F1ではPp/Dd:pp/Dd=1:1となります。表現型としてはピコ&ダークネクタリー:白&ダークネクタリー=1:1となります。あれっ? 交配実験では白&ダークネクタリーなんて出なかったなあ。

PP/Ddならどうでしょう。Pp/DDと考え方は同じですから詳細の説明は省略しますね。
ピコ&ダークネクタリー:ピコ&グリーンネクタリー=1:1となります。これも変ですね。ピコ&グリーンネクタリーなんて出なかったですから。

なら、最後のPp/Ddならどうでしょう。精細胞の遺伝子型はP/D:p/D:P/d:p/d=1:1:1:1となりますね。F1の遺伝子型はPp/Dd:pp/Dd:Pp/dd:pp/dd=1:1:1:1となるので、白&ダークネクタリーとピコ&グリーンネクタリーが出るはずですが、交配実験では出て来ませんでした。

おやおや、どれもダメですか・・・

では、親やF1の花をもう一度良く観察してみましょう。ピコティーなら必ずダークネクタリーとなり、白花ならネクタリーはグリーンになっています。つまり、花被片周囲とネクタリーの色は同じ遺伝子で支配されているのかも知れません。良く見ればネクタリーの色もピコティーになっていますね。そこで、花被片周囲に着色する遺伝子をPとしましょう。

マザーピコティーの遺伝子型はPPまたはPpとなりますね。白花はpp。
花粉親がPPならば、F1は全部ピコティーになるので、実験結果と一致しません。
花粉親がPpなら、F1はPp:pp=1:1となって、交配実験と一致します。

つまり、ピコティーの遺伝子とダークネクタリーの遺伝子は共通であると仮定すると、交配実験結果を上手く説明出来たというわけです。そしてマザーピコティーではヘテロでその遺伝子を持っていた事になります。さて、その共通遺伝子とはどんな働きをしているのでしょうか? 白花でもブロッチや茎には着色することから判る通り、色素を作る遺伝子は持っているので、ピコティー遺伝子は色素を作る遺伝子を花被片(及びネクタリー)周囲で働くように指示する遺伝子と考えることが出来ます。

次回は、この解釈がどの程度普遍性をもっているのかを、他の株を観察して考えてみることにしましょう。
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花好きおじさんの園芸と植物に関するあれこれ。
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