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イングリッシュ・ローズの想い出

先週の日曜日、八千代市の京成バラ園に行って来ました。朝から小雨模様で行くのを断念していましたが、10時ごろから徐々に晴れ間が見えたので、ちょっと遅出の12時ごろからの出発になりました。道路や駐車場が混んでいるでしょうから、運賃の高いのを我慢して東葉高速鉄道に乗り八千代緑が丘駅で下車、20分ほど歩いてバラ園に到着しました。電車で行くとこの徒歩があるので、散財しなくて済みます(笑)。

今月はホント雨ばかり、毎日新聞によると・・
「東京の今月7~18日の日照時間は計15・8時間で、平年の23%にとどまり、ほとんど日差しがない状態だ。」そうだ。
それも土日はほとんど雨でしたから、日曜日の晴れ間はとっても貴重!と思った人も多いようで園内はいつになく混雑していました。肝心のバラはというと、満開をやや過ぎた感じでした。

ピース&全景

園内の様子。右奥に見えるピンクのアーチはコルデス作の‘アンジェラ’。いつ見ても花着き満点。我が家でもアーチっぽくなってます。ごついシュートが伸びまくるので剪定には難儀してます。

手前のクリーム色にピンクの差したものは不朽の銘花、メイアン作‘ピース’。第二次世界大戦の終戦の年である1945年の発表で、平和を願って名付けられたとか。私が物心ついた頃に庭に植えてあったバラ3本のうち1本がこの‘ピース’でした。その巨大輪の花が咲く頃、庭で大きな蕾がふくらんで行く様を眺めては嬉しい気分になりました。あとの2本は、‘パパ・メイアン’と‘クイーン・エリザベス’。

ジェーン・オースチン

オースチン作、‘ジェーン・オースチン’
イングリッシュ・ローズの中で最もお気に入りの品種です。花色、香りともに大好き。

以前BBSにもちょっと書きましたが、ここでイングリッシュ・ローズの想い出を書き留めておきましょう。

高校生の頃から今で言う「ハーブ類」や「薬用植物」にとても興味があって、ミントやラベンダーにはとても憧れていました。今ならホムセンに行けば当たり前のように購入出来ますが、当時は販売される事は滅多にありませんでした。バラやジャスミンなら精油を採る品種が欲しいと思っても、やはりどこにも売っていない・・。大学生になって、やっとセンティフォリア・ローズの実物に出会うことが出来ました。桜色の薄い花弁がぎっしりと詰まった花を見つめていると、精油を採るために栽培している所を見てみたいものだと思いました。また、その香りはハイブリッド・ティーには無い濃厚なものでした。

何年かはこのバラを楽しんでいましたが、所謂、「オールド・ローズ」と呼ばれるこれらのバラの多くは春にしか咲かず、年中楽しむにはどうしたら良いのかを考えるようになりました。この平咲きと香りをそのままに四季咲き性を与えれば、例えば温室栽培すれば周年オールド・ローズの切花を楽しめるようになります。これは素晴らしいアイデアだ!! そして、四季咲き性を取り入れるにはハイブリッド・ティー系の品種を交配すれば良さそうです。でも、四季咲き性が劣性だとすればF2まで見なくてはなりません。これは大変。

それで、バラの研究者であるU先生に四季咲き性の遺伝について伺いました。すると四季咲き性は優性劣性とのこと。なら花型や香りは別にして周年開花は意外に簡単かも! と思ったところで、U先生に「それならイングリッシュ・ローズというのがあるよ」と教えられました。当然、同じような事を考えて実行する先達はいくらでもいるものです。所詮アマチュアの思いつきです、現在の品種をちゃんと調べておけば良かったのです。

なら、そのイングリッシュ・ローズを買ってみようと思いました。ところが、ここで大きな障壁が待っていました。オースチンから送られて来たカタログには、「日本には苗は売らないけど、参考のためにカタログを送ります」という手紙が添えられていました。1990年頃の話です。噂によるとオースチン氏は日本がお嫌いなのだとか・・・。原因はどうも戦争中の話らしいです。

もちろん国内で販売されていなかった頃ですから、RHSの会報誌で広告を探したり、U先生に紹介していただいた海外のナーセリーにカタログを請求し、やっとカナダのホルティコ社が日本に輸出してくれる事がわかりました。苗物の輸入手続きなど何も知りませんでしたので、植物検疫の事、税関の事、海外への銀行送金の事・・・色々調べて、やっと20品種注文しました。イギリスのピーター・ビールズも日本に輸出してくれるとの事で、こちらにはオールド・ローズを注文しました。苗が到着するまで待ち遠しかったこと。

待ちに待った苗を植え付け、初開花!!
やっと目にする憧れのイングリッシュ・ローズ。その花の姿、香り・・・今でも鮮やかに思い出します。日本中探しても、マニアの庭、あるいは育種専門家の試験圃場以外ではたぶん見る事が出来ないでしょう。それが今、目の前にある・・・その事だけでも恍惚となりそうです。

咲いた花を早速切り花にして花器に盛り、写真に撮ったり、人に見せたり・・・、オールド・ローズの花型の優しさと香りの良さを他人に説いてまわりました。でも、残念ながら評価は全くダメでした。特に専門家の意見は厳しいものでした。曰く「みっともない花型で、悪い花型の典型だ」「日本人は高芯剣弁が好み。平咲きなどナンセンス」云々。完全に凹んでしまいました。

その後、岐阜県で花フェスタがあり、鳴り物入りでイングリッシュ・ローズが紹介されるとこのような状況は徐々に変化して行きました。日本でも輸入代理店が出来、少しずつですが苗を購入する事が出来るようになりました。そしてここ数年はホムセンでも置いてありますし、「全然ダメ」と言われたバラ園にもずらりと苗が並ぶようになり、この十数年の変化は劇的なものだったと思うと感慨深いものがあります。

さて、このイングリッシュ・ローズの切り花ですが、最大の問題は実は人の好みではありませんでした。花持ちが全く話にならないくらい短いという事がわかりました。開花後2~3日で散ってしまったのです。現代バラに香りが無くなったのは、品種改良の過程で香りを軽視したからだ・・・という説がありますが、これは間違いかも知れません。私は花持ちを良くすると香りが消えるのでは無いかと考えています。バラの香り成分、例えばモノテルペノイド類は細胞に大きなダメージを与えます。これが花の寿命を短くしているのではないかと推測しています。香りが良く、かつ花持ちも良い品種というのはあるのでしょうか? バラ以外なら香りも花持ちも両立している植物もあるでしょう。例えばユリなど。香りの生成や蓄積、放散のメカニズムを調べて行くと、夢のバラが作れるかも知れない・・・などと、四季咲きのオールド・ローズを夢見た頃のような気持ちになっています。

グラハム・トーマス

オースチンの代表作‘グラハム・トーマス’
オールド・ローズには黄色い品種はありませんから、発表当時は黄色でオールド・ローズの花型には賛否両論だったそうです。また、黄色い品種は原種のロサ・フェチダから来ているのであまり良い匂いはしないのが普通です。この品種は、オールド・ローズの花型でありながら黄色でしかもティー・ローズの香りという、まさにオースチン氏の挑戦を具現化した品種と言えましょう。
四季咲き性に関しての訂正

四季咲き性は劣性に現れやすいようで、私の聞き違いだったようです。
それと、四季咲き性には強弱がある、すなわち量的な形質なので単純に優性劣性で考える事が難しいようです。
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テーマ : バラが好き。。。
ジャンル : 趣味・実用

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イングリッシュローズ

この言葉が、違和感なく聞けるようになったのは、8年前でしょうか。
「バラ」なんて、似つかわしくないことばでしたから、。(今でも)
センターの園芸講座を受けるようになると、1月は「バラの剪定」などがあり、嫌でも覚えました。
硬い土を堀上、肥料を施し埋め戻す。
センターのバラ園は有名でしたから、それなりに手入れも大変でした。
そこでバラを覚え、大抵の人が「ピース」を最初に覚える中、
いいな~と思えたバラ「ハニーバル??」。いい香りがしてオレンジ色の花が、すごく素敵に見えました。
オールドローズ、ティーローズ、ハイブリッド、フロリバンダ、なんて言葉も覚えたものです。
しかし、バラは大変。
害虫、病気、消毒は必ずしなければならず、水は好き、肥料は好き、やっぱり私には不向きでした。
今、1本のバラが鉢植えで座っています。
花びら数の少ない、八重咲きでほのかな香りもあります。
この一鉢で十分楽しんでいます。
一種の花が人の心に入り込むって、膨大な時間がかかるんですね。

隊長んちには何本のバラがあるんでしょう。
それでなくても、お忙しそうなのに、時間を分刻みで使っているんでしょうね。
お体には気をつけて。
お互い、若くはないんです。(笑)

イングリッシュ・ローズ

思い出がいっぱいなのですね。
興味深く読ませていただきました。
それにしても、conoconoさんが苦労して導入した時は不人気で、業者が輸入するようになると人気が出るとは、当初のプロの評価も当てになりませんね。

オースチンさんは戦争が原因で日本嫌いということですがイギリス人ですか?

また初歩的な質問で申し訳ありませんが教えて下さい。「高芯剣弁」とは? 「平咲き」とは? すみません

私も毎年向ケ丘遊園のバラ苑に行って楽しんでいますので、今年も行こうと思いつつconoconoさんの記事を見て思い立った時は、一般公開は過ぎていました(6/4迄)。残念でした。

手入れと手抜きのバランスを大切に

まっちゃん
>一種の花が人の心に入り込むって、膨大な時間がかかるんですね。

一目惚れなんていうのがある一方で、最初は何とも思わなくても徐々に良さが判って行くものってありますね。どちらにしても、長年の付き合いの中で、自分に合った楽しみ方を見つけて行ければ、自分にとっても植物にとっても幸せだなと思います。生活に馴染ませるというか・・・そんな風になるまでには、まだ授業料がかかりそうですけどね。新品種には心惹かれるし、長く付き合っていると飽きて来たりもするしで、なんて浮気性なんでしょ!(笑)

我が家では道路に面した場所に3本つるバラを地植えしてありまして、毎年芽出し前の剪定・誘引が大変のなんの。手がトゲにひっかかって血は出るし。去年、ちゃんと手入れしてやれなかったんで今年は開花数激減でした。なんだか通信簿みたい。通りがかりの知らない人に「今年は花数が少ないですね」などと言われたりして、毎年楽しみにしている人もいるんだなあと、ちょっと嬉しくも思いました。来年はちゃんと咲かせられるように頑張るよ! まだ若いですから(笑)

バラの咲き方

高柳さん
販売店にとっては「売れているもの」=「良いもの」でしょうから、「売れるかどうか判らないもの」=「リスクの大きいダメなもの」と考えるのがプロなのかも知れませんね。もちろん、「売れているもの」が良い物かどうかは全く別の問題というか、花の場合は価値観の問題でしょうから、俄に「流行」するほどイングリッシュ・ローズが魅力的な花かどうかは、実際のところ私にも判りません。流行って、いつも私の傍らを通り過ぎて行くだけのように感じています。

オースチン氏はイギリス人ですね。容易には消し去る事の出来ない事もあるのでしょう。しかし、このような素敵な花を世界中の人が愛でる事が出来たら、争い事も少しは減るのではとも思います。

「高芯剣弁」は、切り花で典型的な姿を見られると思いますが、花の高さ(厚み)が直径よりも高く、1枚1枚の花弁がカールして剣のように尖って見えるものです。‘ピース’はその一例です。「平咲き」は文字通りぺったんこ。シャクヤクのような感じで、2枚のイングリッシュ・ローズの写真が典型です。

こんばんは

こんにちは。
ご無沙汰してしまって、久し振りによせてもらって、この記事を読んで感動をしてしまいました。
イングリッシュやオールドローズが当初は他の方達にあまり受け入れられなかったのですね。薔薇はこういう形、という固定観念が強く、受け入れられるようになるまでに相当な時間がかかって今日に至っているのですね。
私もイングリッシュローズが大好きですが、やはり花持ちが悪いのは実感します。
香りが花持ちを悪くしているのか、花持ちが悪いので、強い香りを出して虫を呼ぼうとしているのか・・・なんだかロマンを感じてしまいました。
香りが良くて、花持ちが良くて・・・良く咲いて・・・そんな薔薇ばかりだといいのですが。

おひさです

MIKIさん、おひさしぶりです!
独り言をお読みいただき恐れ入ります。そんな事もあったのだと、ご一笑いただければ幸いです。
当時は、日本でのこのバラに関する情報は皆無に等しかったですし、香りや栽培に関する具体的な事を知りたいと思う一心で入手しました。やはり写真で見るのと実物を触るのでは大違いでしたね。花持ちは期待通りでは無かったし・・・。イングリッシュ・ローズはガーデン用。散り際の綺麗さが大切なんだそうで、花持ちを気にする必要が無かったのでしょう。
固定観念には良い面と悪い面がありますね。新しいものが受け入れられにくいのは仕方無い事でしょう。よく思うのですが、育種家は新しい固定観念を作っているような気がします。それをスタイルと呼ぶのだと。四季咲き性のオールドタイプのバラ(=イングリッシュ・ローズ)が一つのスタイルなら、さらに新しいスタイルとは何だろうと考えています。いつまでもイングリッシュばかり拝んでもいられません。日本スタイルorアジアスタイルのバラってどんなのだろうか・・・なんてね。また笑われるんだろうなあ。
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花好きおじさんの園芸と植物に関するあれこれ。
たまに作り話もあるので要注意。

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