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沖縄植物探訪2001夏(4)

2001年6月27日
明日は昼過ぎに出発なので、実質今日が調査最終日・・・となるはずでしたが、天候に恵まれたため昨日までに予定の仕事が終っていました。なら、折角夏の沖縄に来たのだからマリンレジャーを楽しんで帰るというのも疲れを癒すためには必要か?・・・と、不謹慎な事をちょっと考えました。が、今回の調査で気がかりな事があったので、実は再度於茂登岳に登ったのでした(苦笑)。何が気がかりだったのか?・・・ふふふ、それは現地に行かねば絶対に見つけられない事でした。その事についてはまた別の機会に紹介することとして、そもそも何で八重山でリュウキュウイナモリの調査をするに至ったかについて説明していませんでしたので、ここで経緯を紹介しておきましょう。

今から丁度20年前、筑波大学の遺伝子実験センターというところで働いていた私のテーマは、種々の薬用植物にアグロバクテリウム・リゾジェネス(Agrobacterium rhizogenes)という土壌細菌の一種を感染させ、細菌の遺伝子が導入されることによって発生する特殊な根(毛状根)を無菌培養するというものでした。この毛状根は、植物ホルモンを与えると簡単に元の植物体に戻ることから、遺伝子組換え植物を作製するためのツールとして期待されると共に、毛状根そのものが薬用成分を生産する事から、新たな薬用成分生産技術として期待されたのでした。

材料植物としては、トロパンアルカロイドを作るハシリドコロやベラドンナ、ナフトキノン色素であるシコニンを生産するムラサキ、そして今回のリュウキュウイナモリにつながる事となるキジュ(Camptotheca acuminata)があったのです。その後すぐに職場は変わったのですが、テーマであるキジュは新しい職場に持ち越しました。

キジュの実

キジュ(バナナのような実をくす玉状につけている) 中国は四川省を原産とするヌマミズキ科の高木。

この木にはモノテルペン系インドールアルカロイドの一種・カンプトテシンという成分が含まれていて、制癌剤としての開発が進められていた頃です。癌細胞の増殖を抑える働きがある事は、アメリカ・ガン研究所(NCI)の研究者によって1966年に報告されていたのですが、副作用が酷く医薬品としての実用化は断念されていたのです。それが、日本のヤクルト本社の研究者の手によって、副作用の少ない誘導体が開発され、医薬品としての実用化が目前となっていました。

重要な医薬品となる成分の生産が、畑で作った植物に依存しているとなると、その安定生産に不安があります。野菜の価格のように乱高下したり、ある年には収穫がゼロだったなどという事態はあってはならない訳です。そこで、先ほど紹介した毛状根の登場です。大きなタンクで無菌的に培養することによって、工場生産品のようにカンプトテシンが生産出来れば、医薬品の安定供給に役立つと考えました。

ところが、色々な植物に上手く感染していたアグロバクテリウムですが、どういう訳かキジュにだけは何度やっても感染してくれません。どうして良いかも解らず途方にくれてしまい、結局、感染を断念、放り出すことになりました。
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テーマ : 研究者の生活
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花好きおじさんの園芸と植物に関するあれこれ。
たまに作り話もあるので要注意。

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